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日記なのか何なのか…気侭に語る
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■ 2011/08/09   突発SS【想像家族】
FIVEのとあるキャラの過去話

厳正なる(bot)抽選の結果
【ちょっぴり恥ずかしい過去を曝される券】を受け取ったので。
ついこないだデバッタばかりなのに!!
ってか、誰のちょっぴり恥ずかしい過去なのか分からなくなりました…。
…きにしなーい。

*****************

【想像家族】


  本当の家族になったのに
  ここにお前は
  いないのだ


 気がつけばいつも傍にいたのはカガミトだった。
 父上と母上は週に数える程しか会わない。
「レツ様、着崩さないで!」
「だって、窮屈だ!」
「ちょっとの間でしょ!?ほら!カズハさんはちゃんと着てますよ!?」
 カガミトが指す方を見れば、何も考えてなさそうにボーッと立つ従弟の姿がある。
 目が合うとニコリと暢気そうに笑った。
「・・・・・・カズハの阿呆っ子ー!!」
 カズハの眠そうだった目がくるっと丸く大きくなる。
「ちょっと、レツ様!!八つ当たりしない!!」
 カガミトがカズハの頭を撫でる。
 カズハがだらしなくえぐえぐと泣き出した。
 取り出した布で涙を拭いてやりながら、カガミトが優しく笑いかけてやる。
 その様子に何故だかやり場の無い感情が湧いてくる。
「泣き虫ー!!ベーーーーーッだ!」
 片目をぐいっと指で下げ、舌を出してから回れ右をして駆け出す。
 と、少しもしないうちに頭に重みが加わったかと思うとグググッと押しとどめられた。
「何を遊んでいる。待たせるな!」
 低めの声にカガミトが慌てて答える。
「すみません、ミカド様」
 重みに絶えながら少し上を向けば、刺青の浮かぶ腕が自分を押さえつけていた。
 土の神官長のミカドだ。
 若い頃より最高神官として君臨するカリスマ。
 ・・・ちょっと子供に対して・・・力が強すぎないか・・・?
 ぐいぐい押される手を押し返そうと、ぐぐぐっと少し後ろ気味に体重をかけて踏ん張った。
 ぐぐい!っと更に力が加わる。
 お、大人気ない!!
 必死にもっと力を出して踏ん張った。
 と、その瞬間、一気に自分を押さえつけていた力が消えた。
 勢い、バランスを失って尻餅をつく。
「バーカ、遊んでないで早くしろ。」
 そう言って、ミカドはニヤリと上から見下ろす。
 大人気ないー!!
「皆様もうお揃いですか?」
 カガミトの問いかけに、ミカドが私を担ぎ上げながら答える。
「ああ、実はもう儀式は始まっている。」
 担がれた私はミカドの肩におさまった。
 身長のあるミカドの肩車はワクワクする。
 廊下の天井が近い!
「・・・ミカド様、儀式かったるくて抜け出してきましたか?私たちを口実に。」
 カズハの手を引きながらカガミトが横に並んで歩く。
 いつもは見上げる姿を今日は見下ろす。
 頭の天辺まで見える!
「このまま見つからないことになっている。さて、何処に行くか?・・・レツ様、あまり暴れるな。」
 天井に手を伸ばしたり、見上げてきたカズハに手を振ってみたりしていた私の足を、ミカドがポンポンと軽く叩いた。

  昔、こっそり忍んで見せてもらった城下の祭。
  楽しそうに歩く親子の姿。
  幸せな家族像。

 思い出し、くすくす笑う。

  似てるよね。
  あれに、似てるよね。
  カズハが弟で。
  ミカドがお父さんで。
  カガミトはお母さんなんだ。

 楽しい想像。
 楽しい空想。
 そうだったら、何て素敵なんだろう!

「天気もいいしな、神殿にこもるのは勿体無い。」
「はいはい、諦めました・・・。」
 溜め息を吐いたカガミトが手を引いたカズハを見、次に私を見上げた。
「レツ様、何処に行きたいですか?」
 微笑むカガミトに、私は笑顔を弾けさせ元気に答えた。
「東門の物見塔に登りたいです母上!!」
 一瞬間があいた。
 その間を破ったのはミカドの爆笑だった。
 カガミトが何故か真っ赤になる。
「ちょっと、レツ様!!母上って、なんですか!」
 ・・・あ。
「勢いで。」
 ミカドの笑いの振動が肩に乗る私に伝わってくる。
「勢いで何で母上!?」
「お前がいつも口やかましくしているからだろ?はははははっ苦しい!傑作だ!」
 きょとんとカズハが首を傾げている。
 急に大きく揺れたのを感じるとともに、風が後ろに吹き去っていく。
「よし、カガミトの炎を受ける前に、東門へ行くぞ!」
 走る振動に揺れながら、私は楽しさに笑いが止まらなかった。


  なあ、カガミト
  母上ではないけれど
  私はお前を「義父上」と呼べる様になったんだ

  でもここに
  お前はいないんだ


 少女の眠る姿を眺めながら
 私は声を殺して泣いた

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