日記なのか何なのか…気侭に語る
※記事内画像はクリックで拡大……される事もあるとかないとか。
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■ 2024/04/26
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■ 2011/07/23
突発SS【だから私は】
FIVEのとあるキャラの過去話
もう説明いらんじゃろ!
総八発作的自己満足突発SS。
もう説明いらんじゃろ!
総八発作的自己満足突発SS。
*****************
【だから私は】
いつも最後に言ってくれる一言
だから私は頑張れた
最後の書類にサインをし、それを手渡した。
涼しげな顔でチェックをするカガミトから目を逸らし、私は椅子の背もたれに全身を預ける様にして深く息を吐いた。
すっと目の前の机上に書類が戻る。
細い指が一点を指した。
「ここ、サイン漏れです。」
・・・・・・。
ずり下がっていた上体を戻し、椅子に座り直す。
指し示された箇所にサインをすると、すっと今度は目の前から書類が消えた。
「はい、完了です。お疲れ様。」
高く積まれた書類が机の端に揃えられた。
カチャカチャと音がし、ほっとするような香りが漂った。
「どうぞ。」
いつの間にか用意していたらしい香茶が目の間に差し出される。
「ありがとう。」
少し掠れ気味の声。
別に声を出していた訳でもないのに、書類と格闘している間に知らず喉が乾き切っていたようだ。
カップを口に運ぶ。
熱くはない。
喉を潤していく心地よさに自然と小さな笑みが出た。
「途中、飲み物くらいお出しすれば良かったですね。気がつかず、すみませんでした。」
「いや、どうせ出されても途中では手を付けなかっただろう。こうしてゆっくり飲める方が嬉しい。」
私の言葉に、カガミトがにこりと笑う。
どうせ、分かっていての「今」なのだろう。
少し温めの香茶は冷めたわけではない。
きっとすぐに飲める様にと意図的に温くしてあるのだ。
・・・・・・。
私がクククと思わず声を漏らして笑う。
何事ですかと、突然の笑いに疑問の視線が向けられる。
「私がなかなか妻を迎えないのはお前の所為かもな。」
呆れた顔がこちらを見遣る。
「なんですか、それ。そういった理由に私を担ぎ出さないで下さいね。」
ポンとカガミトが積まれた書類に手を乗せた。
厚みを確かめる様にポンポンと数回叩く。
「本当にお疲れ様です。本日中は無理かと思いましたが・・・」
そこで一度言葉を切って、改めて私に視線を向けて笑顔で言う。
「頑張りましたね。」
いつもの言葉。
いつものタイミング。
お前は知らないだろう?
私は何処か心の奥で、その言葉を期待している。
「頑張って」ではなく「頑張りましたね」
そう、だから私は頑張るのだ。
最後にその言葉が聞きたくて。
そういう口癖なのだろう。
別に意図しているわけではないのだと思うけれど・・・
そんな事を考えているうちに、扉をノックする音が響く。
特に了解を得るわけでもなく、一呼吸置いて扉が開く。
「失礼する。」
眉間にシワを寄せて入ってきた男に私が軽く手を挙げる。
同じ様に軽く応えたカズハは、その切れ長の目をカガミトに向けた。
どうやら私に用事ではないらしい。
「カガミト、こちらの書類が紛れていなかったか?」
「ああ、これですか?」
カガミトは不自然に避けてあった書類の一束をカズハに差し出す。
不機嫌そうに書類をチェックすると、カズハは一度溜め息を吐いて書類を軽く上げた。
「大変ですね。それ、今から処理ですか?」
カズハが恨めしそうにカガミトを睨む。
満面の笑みでカガミトが言った。
「頑張って下さいね。」
・・・・・・ん?
「明日の朝一の会議に間に合う様に頑張れ〜。あはははは。」
「五月蝿い!!この化け物!!寝坊して遅刻するなよ!!」
捨て台詞を残してカズハが出て行く。
そろそろ日付も変わる時刻だ。
「・・・鬼だなお前。」
カガミトがクスクス笑いながら答える。
「ま、カズハさんなら本気出せば終わる量ですし・・・何か?」
「いや、頑張って・・・って、カズハも可哀想に。」
その言葉にカガミトは首を傾げた。
「カズハさんは、言えば言う程伸びる子です。」
あまり意味はないのだろうか?
それとも・・・
「じゃあ、私は?世話係殿。」
冗談っぽく言ってみたら、カガミトが苦笑した。
「貴方には怖くて言えませんよ。」
なんだそれ・・・
黙って目を逸らした私を、カガミトはじっと見ていた。
「貴方は・・・」
私は視線をカガミトに戻す。
「貴方はいつも十分に頑張っているでしょ?」
カガミトは昔と変わらない笑顔で言う。
「もっと頑張れだなんて、私には言えません。」
いつもいつもいつも
ちゃんと見てくれている人がいた。
だから私は
「頑張りましたね、レツ様・・・もう、いいですよ・・・」
【だから私は】
いつも最後に言ってくれる一言
だから私は頑張れた
最後の書類にサインをし、それを手渡した。
涼しげな顔でチェックをするカガミトから目を逸らし、私は椅子の背もたれに全身を預ける様にして深く息を吐いた。
すっと目の前の机上に書類が戻る。
細い指が一点を指した。
「ここ、サイン漏れです。」
・・・・・・。
ずり下がっていた上体を戻し、椅子に座り直す。
指し示された箇所にサインをすると、すっと今度は目の前から書類が消えた。
「はい、完了です。お疲れ様。」
高く積まれた書類が机の端に揃えられた。
カチャカチャと音がし、ほっとするような香りが漂った。
「どうぞ。」
いつの間にか用意していたらしい香茶が目の間に差し出される。
「ありがとう。」
少し掠れ気味の声。
別に声を出していた訳でもないのに、書類と格闘している間に知らず喉が乾き切っていたようだ。
カップを口に運ぶ。
熱くはない。
喉を潤していく心地よさに自然と小さな笑みが出た。
「途中、飲み物くらいお出しすれば良かったですね。気がつかず、すみませんでした。」
「いや、どうせ出されても途中では手を付けなかっただろう。こうしてゆっくり飲める方が嬉しい。」
私の言葉に、カガミトがにこりと笑う。
どうせ、分かっていての「今」なのだろう。
少し温めの香茶は冷めたわけではない。
きっとすぐに飲める様にと意図的に温くしてあるのだ。
・・・・・・。
私がクククと思わず声を漏らして笑う。
何事ですかと、突然の笑いに疑問の視線が向けられる。
「私がなかなか妻を迎えないのはお前の所為かもな。」
呆れた顔がこちらを見遣る。
「なんですか、それ。そういった理由に私を担ぎ出さないで下さいね。」
ポンとカガミトが積まれた書類に手を乗せた。
厚みを確かめる様にポンポンと数回叩く。
「本当にお疲れ様です。本日中は無理かと思いましたが・・・」
そこで一度言葉を切って、改めて私に視線を向けて笑顔で言う。
「頑張りましたね。」
いつもの言葉。
いつものタイミング。
お前は知らないだろう?
私は何処か心の奥で、その言葉を期待している。
「頑張って」ではなく「頑張りましたね」
そう、だから私は頑張るのだ。
最後にその言葉が聞きたくて。
そういう口癖なのだろう。
別に意図しているわけではないのだと思うけれど・・・
そんな事を考えているうちに、扉をノックする音が響く。
特に了解を得るわけでもなく、一呼吸置いて扉が開く。
「失礼する。」
眉間にシワを寄せて入ってきた男に私が軽く手を挙げる。
同じ様に軽く応えたカズハは、その切れ長の目をカガミトに向けた。
どうやら私に用事ではないらしい。
「カガミト、こちらの書類が紛れていなかったか?」
「ああ、これですか?」
カガミトは不自然に避けてあった書類の一束をカズハに差し出す。
不機嫌そうに書類をチェックすると、カズハは一度溜め息を吐いて書類を軽く上げた。
「大変ですね。それ、今から処理ですか?」
カズハが恨めしそうにカガミトを睨む。
満面の笑みでカガミトが言った。
「頑張って下さいね。」
・・・・・・ん?
「明日の朝一の会議に間に合う様に頑張れ〜。あはははは。」
「五月蝿い!!この化け物!!寝坊して遅刻するなよ!!」
捨て台詞を残してカズハが出て行く。
そろそろ日付も変わる時刻だ。
「・・・鬼だなお前。」
カガミトがクスクス笑いながら答える。
「ま、カズハさんなら本気出せば終わる量ですし・・・何か?」
「いや、頑張って・・・って、カズハも可哀想に。」
その言葉にカガミトは首を傾げた。
「カズハさんは、言えば言う程伸びる子です。」
あまり意味はないのだろうか?
それとも・・・
「じゃあ、私は?世話係殿。」
冗談っぽく言ってみたら、カガミトが苦笑した。
「貴方には怖くて言えませんよ。」
なんだそれ・・・
黙って目を逸らした私を、カガミトはじっと見ていた。
「貴方は・・・」
私は視線をカガミトに戻す。
「貴方はいつも十分に頑張っているでしょ?」
カガミトは昔と変わらない笑顔で言う。
「もっと頑張れだなんて、私には言えません。」
いつもいつもいつも
ちゃんと見てくれている人がいた。
だから私は
「頑張りましたね、レツ様・・・もう、いいですよ・・・」
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